VinFast株のメモ。
Contents
- 1 2024年
- 2 2023年
- 2.1 11月26日
- 2.1.1 【米国上場】ベトナム新興EV「ビンファスト」の評判と今後の展望
- 2.1.2 VinFast、IPO後の時価総額を見る。その値は企業価値に値するか?(2023.10.09)
- 2.1.3 【追記】その後の経過
- 2.1.4 VinFast(ビンファスト)は10年後も生き残ることができるか(2023.08.29)
- 2.1.5 VinFastは生き残ることができるか?
- 2.1.6 ビンファスト株急伸、時価総額27.8兆円に拡大-ゴールドマン上回る(2023年8月29日 )
- 2.1.7 ビンファストオート、上場来高値を更新 時価総額世界3位を維持(2023/08/28)
- 2.1.8 ベトナムEVビンファスト、米市場上場 時価総額が自動車大手上回る(2023年8月16日)
- 2.1.9 ベトナムからテスラに挑戦状、新興EVビンファストが年内に米国上場へ(2023.05.15)
- 2.1.10 ベトナムの自動車メーカー「VINFAST」が発売する初の国産車はコンパクト、セダン、SUVの3タイプ(2019.06.20)
- 2.1.11 VIFAST
- 2.1 11月26日
2024年
4月27日
高い成長ポテンシャルを持つアセアン
~アセアン経済の成長要因に迫る~(2023年09月28日)
経済成長著しいアセアン(東南アジア諸国連合)ですが、足元ではまだ加盟国の大半が発展途上にあります。今後も、主な経済の成長要因である豊富な人口と若年層が多い人口構成、消費の高度化やデジタル化の進展などをエンジンとして、高い成長が続くと期待されます。
要因①:豊富な人口と魅力的な人口構成
アセアンの人口は約6.7億人(2022年)と、世界人口の約9%を占めています。これは、中国やインドに次ぐ水準で、EU(欧州連合)の約4.4億人を上回ります。加えて、アセアンは若い人が多くピラミッド型に近い人口構成をした「人口ボーナス期」(A:生産年齢(15~64歳)の人口比率が上昇を続けている、もしくは、B:生産年齢人口がその他の人口の2倍以上ある状態)にあります。一般的に人口ボーナス期は、豊富な労働力に加えて、教育や医療、年金などの社会福祉の負担が国民所得比で低いことなどから、経済政策に予算を振り向けやすくなり、経済が活性化する傾向にあります。実際、日本が上述のA、Bを概ね満たす人口ボーナス期にあった1960年代から90年代前半、日本のGDP成長率(年率)は平均5%超の高い水準を誇り、株価も大きく上昇しました。アセアンは、2010年代以降、地域全体でA、B両方の条件を満たしており、今まさに人口ボーナス期の真っただ中にあります。
要因②:消費の高度化
アセアンの消費市場は、近年の経済成長の恩恵などもあり、拡大基調となっています。今後の経済成長などに伴なう、さらなる所得の向上により、消費の拡大が期待されるほか、生活必需品から、レジャーやヘルスケア、高付加価値の製品・サービスなどへと、消費が高度化し、同地域の消費市場が活性化すると考えられます。一方、一人当たりの生活水準とも言える一人当たり名目GDP(下グラフ)を見ると、アセアンの多くの国は、いまだ低い水準にあります。2022年時点では、日本の高度経済成長期のころの水準にあり、今後の大きな伸びが期待されます。
要因③:デジタル化の進展
アセアンでは、テクノロジーに精通した若年層の多さやスマートフォンの普及、5G(第5世代移動通信システム)ネットワークの展開に加え、電子商取引など消費のデジタル化がコロナ禍を機に加速したことなども追い風となり、インターネット市場が急速に成長しています。東南アジア全体のデジタル経済の市場規模は、2030年に1兆米ドルに達するとの試算もあり、同地域のデジタル経済の成長に注目が集まっています。こうした要因から、アセアンは世界の新たな一大消費市場への成長が期待されます。
- 上記は過去のものおよび予想であり、将来を約束するものではありません。
4月26日
ビンファスト、ブオン氏が10億ドル寄付
ブオン会長は10億米ドルを寄付し、ビングループが5億米ドルを出資、10億米ドルを融資する。
ブオン会長の寄付は個人資産から拠出するもので1年以内に実行する。ビングループは追加出資に加えて、期間最大5年間の融資を実行する。
ブオン氏は、「世界的なベトナムブランドを確立することは、目先の利益を犠牲にすることが必要で困難なことを理解している」と述べ、ビンファストを支援するとした。
ビングループのグエン・ベト・クアン副会長は、「今が世界の電気自動車(EV)市場での競争力を高める重要な時期だ」と説明し、親会社として取り組みに貢献したいと述べた。
4月25日
ビンファスト、米国のディーラー12社と代理店契約締結
ディーラーは第1弾として「VF 8」の販売を開始し、続いて「VF 9」、「VF 7」を販売する予定。販売代理店12か所は4月中にオープンする見込み。
今回の契約締結により、ビンファストオートの米国におけるディーラーの数は、ノースカロライナ、ニューヨーク、テキサス、フロリダ、カンザス、コネチカット、ケンタッキーの7州の計18社となった。
米国でビンファストブランドのEVを購入またはレンタルするすべての顧客には、10年間・12万5000milの車両保証、10年間・走行距離無制限のバッテリー保証を含む、正規のアフターセールスポリシーが適用される。
4月23日
ビンファストの米国EV販売、1~3月期は927台に増加
- 米国でのEV販売台数が8.43倍に
- シェアは0.3%で26社中23位
- 米国に工場建設中、販売拠点も拡大
昨年3月、米国市場でEV販売を開始。現時点では、スポーツ用多目的車(SUV)「VF8」のみを販売しており、2022年11月末と2023年5月に計2878台を輸出した。
ノースカロライナ州チャタムでEV・車載電池工場を建設中で、2025年に稼働を開始する予定。この他、米国カリフォルニア州に販売店13か所、ノースカロライナ、ニューヨーク、テキサス、フロリダ、カンザスの5州に販売代理店6か所を展開している。販売拠点数は、2024年末までに北米で130か所、世界では400か所を目指すとしている。
なお、競合の米テスラ(Tesla) は、1~3月期のEV販売台数が前年同期比▲13.3%減の14万0187台となったものの、シェアでは51.3%を占めた。
4月18日
ベトナムのビンファスト、最終赤字900億円 1〜3月期
ビンファストが17日に発表した2024年1〜3月期の連結決算は、最終損益が14兆8418億ドン(約900億円)の赤字だった。赤字幅は前年同期から約5000億ドン増えた。EVの販売台数は伸びたが、設備の償却負担や在庫評価の見直しによるコストが膨らんだ。
売上高は前年同期に比べて3.7倍の7兆2644億ドンだった。EVの販売台数は9689台・・・
ベトナム:EVビンファストの1Q決算、3.7倍増収も赤字続く
ビンファストは17日、2024年第1四半期の決算を発表した。売上高は7兆2640億ドン(約440億円)で、前年同期比では3.7倍に増加したものの、前期比では31%減・・・
ビンファストは身内への販売で売上増
24年1~3月期の連結決算の売上高は前年同期比3倍以上の3億260万ドル、最終赤字は6億1800万ドルだったと発表した。1~3月の納車台数は前年同期比444%増加したが、その大部分はグループのタクシー会社や不動産会社向けのものだった。
4月11日
ビンファスト、近くマレーシア市場に参入か
マレーシアで撮影された、地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の電気自動車(EV)メーカーであるビンファスト(VinFast)製のEV「VF e34」の写真が注目を集めている。
このことから、同社が狙う次の東南アジア市場はマレーシアの可能性がある。
写真の「VF e34」は右ハンドルモデルで、ベトナムで販売されているEV車と比較すると外観に変更が加えられているが、インドネシアに輸出されたものや、タイ・バンコクで開かれた「バンコク国際モーターショー」で展示されたものと非常によく似ている。
インドネシアでの販売価格(バッテリー含まず)は3億1500万IDR(約300万円)。ベトナムでの販売価格(バッテリー含まず)は7億1000万VND(約430万円)で、バッテリーを含めると8億3000万VND(約500万円)となっている。
4月8日
ベトナムEVビンファスト、インドネシアに初の代理店設立
ベトナムEVビンファスト(Vinfast)は地元のギャレリー・セティア・ウタマ社(PT Gallerie Setia Utama)と提携し、インドネシアに初の代理店を設立した。当面、EV「VF 5」と「VF e34」モデルの販売にくわえ、コンサルティングや車両修理サービスを提供している。同社は2024年中、インドネシア主要都市にわたる流通ネットワークの構築に向けて他の代理店との提携も視野に入れている。
これに先立つ3月28日、ビンファストは「VF e34」モデルをインドネシアで販売する計画を発表した。特に、EVバッテリーのレンタルサービスや10年保証制度、バッテリー容量が70%に劣化した場合の無料メンテナンス・交換サービス等、購入ハードルを下げるための施策を多く実施している。
EV充電ネットワーク構築にも注力している。3月、同社の親会社ビン・グループは、ビンファストのグローバル進出を支えるためにEV充電開発の法人「V-GREEN」を設立した。
3月28日
ビンファスト、タイの自動車ディーラー15社と協力へ
- タイのディーラー15社との協力を発表
- バンコク中心にショールーム22か所計画
- 主要都市にも拡大へ、EV・電動バイク販売
ビンファストとディーラー15社は、EVの普及率が高く、充電インフラの整備が加速しているバンコク市内の主要道路を中心に、ショールーム22か所をオープンする計画。
また、チェンマイやコーンケン、ウボンラーチャターニー、アユタヤ、チョンブリなどの主要都市にも拡大する。
ディーラーは第1弾として「VF e34」、「VF 5」、「VF 6」、「VF 7」の販売を開始する。EVのほか、電動バイクも販売するという。
3月19日
自動車市場も大崩壊、ベトナムの深刻な不況が映し出す「中国頼み」東南アジア経済の転換点
(川島 博之:ベトナム・ビングループ、Martial Research & Management 主席経済顧問)
ベトナムの1月から2月の自動車販売台数は前年同期に比べて23%減少し3万876台だった。昨年(2023年)も前年比で25%減少したが、減少は今年になっても続いている。自動車販売台数は景気のバロメータと言ってよい。もし日本で自動車の販売台数がこのように減少し続ければ大騒ぎになるだろう。
ベトナム政府は2023年の経済成長率を5.05%と発表した。目標の6.5%には届かなかったものの5%は上回ったとしたが、自動車の販売台数が前年比で23%も減少しているときに、本当に5%も成長したのであろうか。政府発表をそのまま信じるわけにはいかない。
ベトナム経済が不振に陥った直接の原因は不動産バブルの崩壊にある。
昭和の日本のようにベトナムには土地神話が存在した。ベトナムの一人当たりGDPは日本の10分の1程度でしかないのに、ハノイやホーチミン市の土地価格は日本の2分の1程度になっていた。そんな不動産価格が2022年の秋から下落し始めた。
1月23日
ベトナムEVビン、海外へアクセル全開 赤字で株価は低迷
5日付で創業者ファム・ニャット・ブオン氏が最高経営責任者(CEO)に就任し、海外事業の直接指揮に乗り出した。巨額投資が相次いで走り始めている。
「EV生産のハブをめざす」。インド南部タミルナド州の港湾都市トゥティコリン。ビンファストは最大20億ドル(約2900億円)を投じてEV工場を設ける。
2023年
11月26日
【米国上場】ベトナム新興EV「ビンファスト」の評判と今後の展望
VinFast、IPO後の時価総額を見る。その値は企業価値に値するか?(2023.10.09)
ベトナムの新興自動車メーカー、VinFastが米国ナスダック市場に上場しました。時価総額は850億ドルとなり、フォード(480億ドル)やGM(460億ドル)を上回っています。
果たして、VinFastの将来性はフォードやGMを上回るものなのでしょうか。
今の時価総額は企業価値に値するか?
VinFastの現在の時価総額850億ドルは、市場が過剰に反応した結果と考えます。上場直後の新興企業の多くが、取引の最初の数日で急騰し、その後下落する「上場ゴール」を経験します。
VinFastは確かに魅力的な投資先ですが、現在の時価総額は現在の企業価値を表すものとはあまり考えられません。理由は以下の通りです。
- 経営の実態が非常に厳しい
- 「黒字化が2025年まで見込めない」と経営陣が認めている
一方で、技術的には実力のある企業であり、Vinグループの投資体力も相まって、今後の事業継続性は高いと考えられます。以下で詳しく解説します。
経営の実態は非常に厳しい
上場を実現し、高い時価総額を付けたVinFastですが、2020年収支は540億円の赤字です。23年1~6月期のEV含む製造部門の損益は約840億円の赤字で、赤字額は年々膨れ上がっています。
赤字の要因として、工場規模に対する販売台数の少なさが挙げられます。Vinfastの2022年のベトナム国内での販売台数は7400台(グローバル2万台)です。この数字は、VinFastが30万台規模で生産できる工場を持っているのに対して売れなさすぎです。余剰な生産工程を持つ形となり、資産効率が非常に悪いと言わざるを得ません。
黒字化は2025年以降か
Vinグループ創業者のファム・ニャット・ブオン(Pham Nhat Vuong)氏は「24年には販売数は6万~7万台となり損益ゼロ、25年度には利益を生み出せる」とはしているものの、6~7万台の販売(工場稼働率20-25%)で利益が生み出せるのかには疑問は残ります。
いつまでこの赤字をvinグループが許容するのか、今後どれだけ赤字を縮小できるのかが見ものです。
なお、ベトナム本国では、他社製を含めてEVの乗用車はほとんど見かけない状況です。それ以前に、そもそも4輪が走っていないのです。VinFastの黒字化は、米国など他地域で販売を伸ばし、外貨を稼ぐことでしか期待できない、といっても過言ではないでしょう。
EV専業の新興として投資体力はある
新興のEV専業メーカーではありますが、母体のVinグループの投資体力は他の新興とはわけが違います。不動産販売で得た利益を、自動車事業に回しており、たとえ赤字が数年続いたとしても、VinFastの経営は継続できる見通しです。
ファム・ニャット・ブオン氏はVinFastの自動車事業に私財を投じているとも伝えられており、個人資産から10億ドル(約1400億円)を拠出しています。
2019年からデリバリーを始めた車事業を、2025年に黒字化が達成できるならば、持続可能な事業が期待できます。一方で、米テスラですら、上場から10年後まで赤字経営を続けていたことも考えると、そうたやすい目標でもないと認識しておくべきです。
ビンファストが発表した2023年1~9月期の連結決算は、最終損益が41兆6598億ドン(約2540億円)の赤字。販売は増えた一方で、コストが膨らみ赤字幅は更に広がっています。売上高は前年同期比7割増の18兆1784億ドン、EV出荷9カ月間では累計2万台でした。
製品は魅力的
VinFastは2022年にEV専業メーカーに舵を切り、現在複数のEVを販売しています。
その製品の品質は高く、高速道路の運転支援や、スマートパーキング機能も有しており、欧州、日本のOEMと比べても見劣りしない機能が搭載されています。
電池関係の協業も
EV関係で最も大切なのが、高性能・廉価なバッテリーを調達できるかどうかです。
VinFastは、プロロジウムと合弁会社を設立し全固体電池の開発を進めているほか、シリコン負極電池を開発するStoreDotに出資し、電池の評価を行っています。
次世代電池への出資も積極的で、EV専業メーカーとして、必要な技術は手に入れるという意思が感じられます。
技術的な面でのVinFastは「動きの速い企業」という印象が強く、何事にも積極的にチャレンジする姿勢はテスラに似たところがあります。投資体力が続けば、米国テスラや中国BYDに並ぶ企業に化ける可能性もあります。
【追記】その後の経過
ビンファストの株価は低迷しています。約1か月後の10月9日の終値は8ドルと、上場手続きで算出した評価額(1株10ドル)を下回って推移し、8月下旬に付けた終値ベースの最高値から約10分の1に沈んでいます。時価総額は足元では850億ドルから200億ドルに転じています。
まとめ
米国でのIPOを果たしたVinFastは、現状経営赤字ですが、Vinグループの不動産事業から得られる資本が期待でき、事業の継続性は揺らぐことはなさそうです。
本来の企業価値は、2025年以降にVinFastが黒字化できるタイミングに妥当な額が付けられるのではないでしょうか。テスラが上場から黒字化まで10年を要したことを考えると、VinFastの本当の闘いはこれからです。
VinFast(ビンファスト)は10年後も生き残ることができるか(2023.08.29)
VinFastとは
VinFastは、ベトナムの新興自動車メーカーです。2017年にベトナム初の国産自動車メーカーとして設立されると、2019年6月には最初の自動車のデリバリーを開始しました。会社設立から21カ月で最初の工場を立ち上げ、2019年末稼働を開始。4年かかる工場立ち上げを2年でやり切ったとのことです。
現在は、港湾都市ハイフォン市臨海部のカットハイ島の工場にて、高級車と、大衆向けの小型車をあわせて30万台規模で生産できる工場を構えています。
Vinfastは年50万台生産可能な工場を視野に入れて展開しているともされています。CEOのレ・ティ・トゥ・トゥイ(Le Thi Thu Thuy)によると、生産工程の90%を自動化した世界トップクラスの製造拠点であるとされています。
自動車業界から見ると「ベトナムの大企業のお遊びかとおもってたら、ガチで国産メーカーになるつもりで末恐ろしい」企業です。
VinFastが急速に技術力を伸ばしている理由
2017年に創業したVinfastは、欧米の自動車関連企業と協業し車両を開発することで、急速に技術力を伸ばしています。提携先は以下の通りです。
- 車両開発:BMW、マグナ・シュタイヤー、ピニンファリーナ
- ECUなどの電子部品:ボッシュやZF
- エンジン開発:オーストリアのAVL
- 車両の製造に関するノウハウ:シーメンス
AVLは内燃機関系の評価システムやシミュレーションにおいてよく知られている企業、シーメンスはドイツの製造業コングロマリットです。これだけの企業と提携することができれば、技術力を急速に伸ばすこともできるだろう、と納得させられます。
ベトナム国内の自動車販売シェア(2021)
ベトナムでの2021年の販売台数では、シェアトップはトヨタ自動車の22%、次いで起亜、マツダ、三菱が続いています(マークラインズ集計)。
Vinfastの2021年のベトナム国内での販売台数は推計7400台(日経新聞引用)で、シェアは7%、たった数年でフォードの次に位置するようなメーカーにまで成長しています。
そもそも、ベトナムの四輪車市場は年40万~50万台規模と小さく、二輪が好まれる市場です。VinFastはベトナム国内だけでなく、国外への進出を模索しなければなりません。
米国進出を実現
VinFastはかねてより米国進出を希望しており、2022年末に米国でIPO申請を行いました。数か月後に米国で上場する計画が難航を極めていましたが、8か月経過した2023年8月、ナスダック市場に上場を果たしました。
上場時の時価総額は850億ドルとなり、時価総額でフォード(480億ドル)やGM(460億ドル)を上回りました。株式の99%をビングループ創業者のファム・ニャット・ブオン氏が保有する形です。
時価総額が非常に高い状況は、上場後も続いていますが、市場の反応は過剰で、実態にそぐわない株価の高騰が続いています。
VinFastは生き残ることができるか?
VinFastの前途は多難です。
事業拡大を続けるVinFastですが、2020年収支は540億円の赤字です。23年1~6月期のEV含む製造部門の損益は約840億円の赤字で、赤字額は年々膨れ上がっています。
赤字の要因として、工場規模に対する販売台数の少なさが挙げられます。Vinfastの2022年のベトナム国内での販売台数は7400台(グローバル2万台)ですが、30万台規模で生産できる工場に対して売れなさすぎます。同様に、VinFastが強みとしているマグナやZF、シーメンスなど大手関連企業との提携には巨額の費用が必要と考えられ、固定費も下げ止まらないと想像できます。
VinFastの経営は2025年までは黒字にならないと言われており、他事業での埋め合わせが可能と言っても苦しい状況。Vinグループ創業者のファム・ニャット・ブオン(Pham Nhat Vuong)氏は「24年には販売数は6万~7万台となり損益ゼロ、25年度には利益を生み出せる」とはしているものの、6~7万台の販売(工場稼働率20-25%)で利益が生み出せるのかには疑問は残ります。いつまでこの赤字をvinグループが許容するのか、今後どれだけ赤字を縮小できるのかが見ものです。
EVメーカーで近年黒字化したテスラを例に比較してみます。2010年に上場したテスラは、上場から10年後の2020年、ようやく黒字化を達成しました。
テスラの黒字化も、排出権クレジットの売却益15億ドルが下支えしており、本当の意味で黒字化するためには、損益分岐点を超える台数を販売するほどの人気車種を生み出す必要があります。
米国での現地生産も進める
米国進出のためには、現地生産が必須です。自動車メーカーが、米国の連邦政府購入奨励金(1台あたり最大7,500ドル)の適用を受けるためには、現地での生産が必須条件であるためです。
そのためVinFastは、ノースカロライナ州に自動車工場を建設し、2025年に稼働させる計画を公表しています。VF7、VF8、VF9を生産する予定で、生産能力は15万台を目標としており、ベトナム国内の半分の規模の生産拠点となります。
販売車種は8種類
Vinfastは、ベトナム国内で内燃機関搭載車(ICE)を4車種、EVを4車種の計8車種を展開しています。日本では未発売、北米や欧州では一部車種を展開しているようです。
Vinfastは2022年末までに内燃機関系の自動車の製造を中止すると発表しており、今後はEVのVFシリーズが主力になると考えられます。
欧州車に劣らない質感
Vinfastが2019年に最初にリリースした車種、Vinfast LUX 2.0は、SUV型の高級車です。
内燃機関搭載車であり、設計・開発はBMWの車種をベースにマグナ・シュタイヤーが担当していることから、その車両の見た目も中身もBMWに近いものがあります。
7人乗りのSUVで、縦置きタッチパネルやクルーズコントロール含め、最低限の機能は装備されています。この車両、インテリアや操作系部品がBMWの車種とそっくりに見えます。
シフトノブもボタン類も、どこかで見たような形状。マグナ・シュタイヤーは、BMWのZ4やトヨタのスープラの生産を手掛けていました。他車種で使いこなしができている部品から選定して操作系を設計しているものと思われます。
ただ、vinfastの車両がベンツやBMWと同価格帯だと、ブランド力のないvinfastは訴求が難しそうです。
2022年にはEVメーカーにシフト
2019年に初めてガソリン車を販売した2年後、2021年には世界的な電動化の波に乗ってEV生産に進出しています。2022年にはガソリン車生産から完全に撤退し、EV専業メーカーへとシフトしました。
近年発売するEVモデルは、内装や装備に関しては独自の路線が見え始めています。
廉価版EV VF5
最も廉価なEVであるVF5 Plusは5億3800万ドン(日本円で約312万円)です。
電池容量37.23kWhと、少し小さめでありますが、300km以上を走行可能の模様。
インテリアはBMWのそれと比べても全く異なり、BMWのパクリ感は感じられなくなりました。
高級SUV VF9
最上級グレードのEVは、VF9と呼ばれる3列7人乗りの高級SUVです。イタリアの有名なデザイン企業ピニンファリーナによってデザインされており、デザインは超一流です。この車種は北米でも発売されており、2023年にデリバーされる予定です。
2022年9月末現在、もう一回り小さいVF8と、このVF9のSUVを合わせて5万8000台の予約が入っているとのことで、期待されている車種であることが分かります。高速道路の運転支援や、スマートパーキング機能も有しており、欧州、日本のOEMと比べても見劣りしない機能が搭載されています。
このあたりは、協業しているサプライヤー(マグナやZF)の技術力がそのまま発揮されているように見受けられます。価格は約76,000ドル(約1100万円)からで、長距離型のテスラ(TSLA)モデルYの約66,000ドルと比べても高価です。
VF9議論の余地があるのは、15.6インチのパネルひとつですべてを操作する、テスラのようなインテリアを持つモデルであることです。ステアリングホイールの向こう側にインフォパネルなどもなく、すべての情報表示と操作が一つのモニタに統合されています。賛否両論分かれそう。
ベトナムではテスラなど他社製も含めてEVの乗用車はほとんど見かけない状況です(そもそも4輪が少ない)。ベトナム国内でEVを販売するというより、北米での事業拡大の足掛かりとする狙いがあるようです。
EVはバッテリーのリース提供を計画
EVを低価格で提供するために、バッテリーのリースを計画しています。
購入者がバッテリーをリースすることを選択すれば、価格76,000ドルのVF9を、57,500ドルという低額で購入することができます。
これは、中国のEVメーカーであるNIOが顧客に提供しているものと同じです。バッテリーをリースすることで、車の初期費用を抑え、購入価格を同等のガソリン車と同程度に低減します。月々の支払いは、ガソリン給油一回の支払いとほぼ同じになるようです。
このバッテリー交換の方法は、EVの普及を阻む要因の一つである初期費用の負担を軽減する方法として、今後主流になる可能性があります。
タクシーとしても利用
VinFastのEVは販売台数が伸び悩んでおり、生産設備への過剰投資が指摘されています。そんな中、ビンファストがタクシー事業に参入することで、販売促進を狙っています。
ビングループの一企業であるグリーン・スマート・モビリティーは、ビンファスト製EVを使用してタクシー事業を行っています。当初は首都ハノイで展開するほか、南部ホーチミンや中部フエなど、年内に全国5省市で展開を予定しています。
EVの普及が遅れている中、このタクシー事業は、EVの普及促進につながるものと考えられています。
最初はビンファストのEV2車種を計600台投入し、初乗り運賃は他社タクシーと同等の2万〜2万1000ドン(115〜120円)に設定されています。ビングループが運営する商業施設などでも利用でき、専用の配車アプリでも呼ぶことができます。
ビンファスト株急伸、時価総額27.8兆円に拡大-ゴールドマン上回る(2023年8月29日 )
不採算のベトナムの電気自動車(EV)メーカー、ビンファスト・オートは、今や時価総額でゴールドマン・サックス・グループやボーイングを上回る。
ビンファストは28日の米株式市場で約20%高の82.35ドルで取引を終了。今月15日の取引開始以来688%値上がりしている。現在の時価総額は約1900億ドル(約27兆8200億円)。ゴールドマンは1110億ドル、ボーイングは1370億ドルだ。
ビンファストの時価総額はダウ工業株30種平均を構成する企業の半数を上回り、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンスの約10倍となっている。
米株式市場全体が冷え込む中でのビンファスト株の急伸は、アニマルスピリッツが完全に抑えられたわけではないことを示唆している。同社はEVメーカーをターゲットとする個人投資家の注目を集めているほか、浮動株が少ないことも相場の動きを増幅させている。同社株のオプション取引も28日に開始され、トレーダーはレバレッジを使ってこの上昇に賭ける機会を得た。
ミラー・タバクのチーフ市場ストラテジスト、マシュー・メイリー氏は、「この上昇は、市場になお多くのフロス(泡)があることを示している」と指摘。S&P500種株価指数は夏の高値から「わずか」4%下落したにすぎず、それほど投資家の恐怖心を招いたわけではないと付け加えた。「市場に本当の恐怖心が戻るには、10%程度の本格的な調整が必要になるだろう」との見方を示した。
ビンファストオート、上場来高値を更新 時価総額世界3位を維持(2023/08/28)
ベトナムEVビンファスト、米市場上場 時価総額が自動車大手上回る(2023年8月16日)
[ハノイ/シンガポール 15日 ロイター] – ベトナムの複合企業ビングループ傘下の電気自動車(EV)メーカー、ビンファストが15日、特別買収目的会社(SPAC)のブラック・スペード・アクイジションとの合併を通じてナスダック市場に上場した。
評価額は230億ドル(1株当たり10ドル)だったが、初値は22ドルで倍以上となった。
その後、さらに上昇し37.06ドルで取引を終了。時価総額は850億ドルとなり、米自動車大手フォード・モーターの480億ドル、ゼネラル・モーターズ(GM)の460億ドルを上回った。
ビングループ創業者のファム・ニャット・ブオン氏が自身の旗艦会社と関連会社を通じて合併後のビンファスト普通株式23億株の99%を実質的に保有する。
同社は今後1年半の間に戦略的投資家や機関投資家から資金を調達する見通しを示したほか、業界大手である米テスラの直販アプローチに基づく販売モデルを変更し、海外市場でディーラーと提携する方針を明らかにした。
第1・四半期は前年比49%減収、5億9800万ドルの赤字だった。2022年は21億ドルの赤字。
米ノースカロライナ州で40億ドル規模の工場建設に着手している。
ベトナムからテスラに挑戦状、新興EVビンファストが年内に米国上場へ(2023.05.15)
ベトナムの複合企業ビングループ傘下の自動車メーカー、VinFast(ビンファスト)は、特別買収目的会社(SPAC)との合併を通じて米国で上場すると発表した。2023年後半の手続き完了をめざし、合併後の企業価値は270億ドル(約3兆7000億円)と評価されている。ビンファストは電気自動車(EV)に注力しており、米国での工場建設も計画している。
このほど、マカオカジノ界の大物ローレンス・ホーのSPAC「ブラック・スペード・アクイジション」と合併することで合意した。ニューヨーク証券取引所への上場を予定する。同社は2年ほど前から、世界での事業拡大に向けた資金を調達するため、米国での新規株式公開(IPO)を模索してきた。ビンファストのグローバル最高経営責任者(CEO)を務めるトゥイ・レは発表文のなかで「ビンファストは国際市場に迅速にリーチできることをすでに証明しています。ブラック・スペードとのパートナーシップと米国での上場によって、世界を舞台とした野心的な目標に向けた資金調達への道が開きます」と述べている。
ビンファストはノースカロライナ州での工場建設を計画しており、ベトナムからはすでに昨年11月、米国への出荷を始めている。EV最大手のTesla(テスラ)に対してそのお膝元で挑む格好だ。年内にカナダや欧州への出荷も始める見通しとなっている。
ビングループと、グループの総帥でビンファストの支配株主でもあるファム・ニャット・ブオンは最近、ビンファストの世界展開を加速させるため、同社に新たに25億ドル(約3400億円)を注入する方針も示している。
ブラック・スペード・アクイジションのデニス・タム会長兼共同CEOはビンファストについて「EVをとり入れたライフスタイルというトレンドに乗るのにとても良い位置につけている。ベトナムと世界での今後の成長にとてもわくわくしている」と期待を示している。
ビングループは時価総額でベトナム最大の企業グループで、自動車製造のほか不動産、小売り、電子機器、ヘルスケア事業などを手がける。フォーブスのリアルタイム長者番付によると、ブオンは純資産額42億ドル(約5700億円)でベトナム一の富豪。
ブラック・スペード・アクイジションは2021年に米国でIPOを行い、1億6900万ドル(約230億円)を調達している。同社にはマカオの「カジノ王」として知られた故スタンレー・ホーの息子で、カジノ運営会社メルコ・インターナショナルの会長を務めるホーの投資会社ブラック・スペード・キャピタルが出資している。
ベトナムの自動車メーカー「VINFAST」が発売する初の国産車はコンパクト、セダン、SUVの3タイプ(2019.06.20)
地場コングロマリットが手がけるベトナム初の国産車&電動バイク
ベトナム初の国産車として、計画発表当初から話題を呼んでいた「VINFAST」。地場系コングロマリットのビングループ傘下となる自動車及び二輪車メーカーであるVINFASTだが、電動バイクに関しては2018年11月、自動車に先駆けて既に販売と運用がスタートしており、電動バイクは既にホーチミン市内を中心に走行している。価格は3,500万ドン(約16万7,000円)前後。
自動車は2019年9月発売予定で、コンパクト・セダン・SUVの3タイプを展開すると発表している。
コンパクトタイプで販売価格は4億2,300万ドン(約203万円)。他メーカーの同型車と差別化を図るため、当面は30%オフ前後となるプロモーション価格を設けるとみられる。
また、VINFASTの親会社であるビングループが展開する主要都市のショッピングセンター「ビンコムセンター」「ビンコムプラザ」「ビンコムメガモール」「ビンコムモール」など、国内14店舗に特設のショースペースが設けられている(展示期間は未定)。
販売開始を待ち望むベトナム人たちが興味深げに自動車や電動バイクをスマホで記念撮影している。
中間層も購入しやすい価格帯の国産車販売開始は間もなく
ベトナムでは中間層の拡大や生活水準の向上に伴い、より高いサービスや品質へのニーズが高まっている。また、自動車やバイクの需要は以前として高い。さらに、ベトナム人は一般的に愛国心が高く、国産車への関心も強い。
これまで自動車は、価格の高さに加え、関税が100%ということで購入できる人が少なかった。
しかし、GrabやGO-VIETといった配車アプリの需要も高く、副業としてドライバーをする人も増え、新車購入の追い風になっている。発売予定の初国産車は関税がかからず、中間所得層の購入も増えるとみられる。
ビングループは不動産を皮切りに、ホテル、小売業、運輸と幅広い産業に参入。実績と信頼を積み上げており、ベトナム人からの支持もある。VINFASTに関してはベトナム国外での販売にも意欲を示している。